年末調整で配偶者特別控除の適用を受けられなかった人向けに、確定申告で配偶者特別控除を受けるための手順を図解入りで説明します。
国税庁のHPを利用すれば、手順に従って入力するだけで控除額や税金を計算してくれるのでおススメです。
2018年に配偶者控除・配偶者特別控除の改正があったので、これまで適用がなかった人でも控除が受けられるかもしれません。
還付金をもらう申告は、5年前の分までできるので、この記事を読んで申告書を作成してみてください。
確定申告で配偶者特別控除を受けるために必要な資料
確定申告書の作成を始める前にお手元に用意しておく資料を上げておきました。
- 給与所得の源泉徴収票(あなたの分と配偶者の分)
- 公的年金等の源泉徴収票(年金をもらっている場合、あなたの分と配偶者の分)
- マイナンバーカードまたは通知カード(通知カードの場合は、身分証明書も必要)
- 銀行の通帳(還付金の受取のため)
- 印鑑(認め印でOK)
源泉徴収票は、あなたの分だけでなく配偶者の分も用意しておきましょう。
配偶者の年収によって、配偶者特別控除の金額が変わるため正確な数字を把握する必要があります。
確定申告書を郵送で提出するときは、重さに応じた切手を貼った返信用封筒も用意しましょう。
税務署は返信用封筒がなければ、確定申告書の控えを送り返してはくれないからです。
税務署に直接確定申告書を提出するときは封筒は必要ありません。
他に医療費控除などを受ける方は、医療費の領収書などを用意してください。
それでは、具体的に国税庁のHPを利用して確定申告書を作成する手順について説明していきます。
確定申告書の作成は国税庁のHPを利用
確定申告書の作成は、手書きで行うこともできます。
しかし、国税庁のHPにある確定申告書等作成コーナーを使うと、税金の計算まで行ってくれるのでおススメです。
国税庁のHPのトップ画面の右側のランキングからアクセスすることができます。
もしくは、「確定申告書作成コーナー」と検索してもいいでしょう。
作成コーナーのトップ画面の作成開始ボタンをクリックしてください。
具体的な作成に入る前に、税務署への提出方法を選択することになります。
今回は、紙で提出する方法を選択します。
電子申告ができる状況が整っている方はぜひe-Taxで提出してみてください。
慣れると紙で提出するより効率的で時間がかからないのでおススメです。
このコーナーを利用するための推奨環境が決まっているので、お使いのパソコンが一致しているか利用前に確認。
最新のOSが推奨環境に入っていないことがあるのが難点ですが。
問題なければ利用規約を確認し、「利用規約に同意して次へ」をクリック。
次のページでは、何年度分の確定申告書を作成するのかを選択します。
まだ確定申告書作成コーナーのアップデートが済んでいないので、今回は平成30年分もベースに手順をご紹介していきます。
▼をクリックすると、作成できる書類が4つ出てきます。
会社員の方は左の「所得税」を選択すればOK。
個人事業主の方は、他にも決算書(収支内訳書)や消費税の確定申告書も作成することができます。
今回は、会社員の方の確定申告ですので、一番左の青枠のところの「作成開始」をクリック。
真ん中は、個人事業主や不動産をお持ちの方用です。
もう一度、作成前に手元に必要書類がそろっているか確認します。
特に配偶者特別控除と合わせて医療費控除を受けたい方は、医療費の領収書などが必要となるので事前に準備しておきましょう。
次にあなたの生年月日を入力します。
ここへ入力したものが、確定申告書に反映されるので間違えないように。
提出方法は、すでに選択しているのであらためて選ぶ必要はありません。
所得の種類を選択します。
会社員の方は、一番上の「給与のみ」、もし年金をもらっているなら一番下の「給与と年金の両方」にチェックを入れます。
今回は、「勤務先が1か所のみ」で「年末調整済みである」方を前提に進めていきます。
副業でアルバイトをしている方は、「2か所以上」のほうにチェック。
年の途中で退職された方等は「年末調整を行っていない」にチェックを入れます。
次は今回の確定申告で受けたい控除を選択します。
年末調整で配偶者特別控除の適用を受けていない方やふるさと納税の控除、住宅ローン控除の1回目の適用を受ける方は必要な項目にチェックを入れるようにしましょう。
ここでようやく事前にやっておくことが終了しました。
それではここから実際に給料をどう入力していくか確認していきます。
源泉徴収票を見ながら給料の内容を入力
ながながと事前の準備についてお伝えしてきましたが、ここからが本番です。
お手元にあるあなたの源泉徴収票を見ながら入力していきます。
「入力する」をクリックしてください。
もしお手元に源泉徴収票がなければ、会社へ再発行を依頼してください。
紙で確定申告書を提出する場合は、源泉徴収票の原本の提出が必要だからです。
収入・所得金額の入力は、会社が発行した源泉徴収票をそのまま入力していくところです。
年末調整で配偶者特別控除の適用を受けていない方を前提にしているので、赤枠で囲ったところはあえて何も入力しません。
どの数字をどこに入力するかは、お手元の源泉徴収票と画面左の参考画像を見ながら入力していきましょう。
9から15の項目に金額がはいっていないときは、一番下にチェックを入れます。
次のページは、ローンを組んで住宅を購入された方が控除を受けているときに入力します。
該当しない方は、先ほどと同じで一番下のところにチェックを入れましょう。
24番は、あなたのお勤め先の情報を入力するところなので忘れないように。
その他の項目は、関係なければ全て空白でOKです。
これで源泉徴収票の内容は入力完了です。
念のため「支払金額」と「源泉徴収税額」が源泉徴収票の金額と合っているか確認しましょう。
もしお勤めの会社と別に副業等で給料をもらっているときは、右下の「もう1件入力する」をクリックして、2枚目の源泉徴収票を入力してください。
他に入力するものがなければ「次へ」を。
次のページには、訂正・内容確認が行うためのボタンがあります。
特に問題なければこれで給料の内容入力は終了です。
それでは、配偶者の情報を入力していきましょう。
配偶者特別控除の適用を受ける
この一覧の中から配偶者特別控除を探してください。
次のページでは、あなたのパートナーである配偶者(妻または夫)の源泉徴収票を見ながら必要事項を入力します。
入力する項目は、
- 配偶者の氏名
- 配偶者の生年月日
- 配偶者の障害者の該当→障害がなければ無視してOK
- 配偶者の給与等の収入金額→「配偶者の給与等の収入金額」に、配偶者の給与所得の源泉徴収票の「支払金額」を入力
- 配偶者の公的年金等の雑所得の収入金額→配偶者が年金をもらっているときに公的年金等源泉徴収票の「支払金額」を入力
- 配偶者の上記以外の所得金額→給料・年金以外の収入があれば収入から必要経費を引いた金額を入力
- 国外居住親族→配偶者が国外に住んでいなければ無視してOK
入力終了(次へ)をクリックすると先ほどのページに移ります。
先ほどと違って、配偶者の年収に応じた控除額が自動で計算されているはずです。
医療費控除を受けようと思っている方は、こちらの記事も参考にしてください。
その他の内容を入力
次のページでは、税額控除等の内容を入力していきます。
税額控除で有名なのは、住宅ローン控除でしょう。
正式名称は、住宅借入金等特別控除です。
関係のない方は飛ばしてもらっていいページです。
税額控除のページが終わると、計算自体も完了します。
配偶者特別控除を追加で受けた結果、還付される税金の金額が表示されます。
住民税に関する事項です。
住民税の徴収方法は、収入が給料だけのときは無視してOKです。
その他の項目は、源泉徴収票と同じ内容になるようチェックを入れます。
ここからは、住所や氏名等の個人情報を入力していきます。
まずは、税金の還付を受けるため銀行口座等の情報
原則として指定できるのは、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合、漁業協同組合及びゆうちょ銀行です。
現状一部のインターネット専用銀行では、還付金の受取ができません。
振り込みができない銀行の場合は、税務署から電話がかかってきますが、あらかじめ受取口座に指定できるか銀行に確認してみましょう。
当然ですが、ここに入力する銀行口座はあなたの名義のものに限られています。
氏名・性別・電話番号・世帯主の氏名と続柄を入力します。
次は住所等の情報を入れていきます。
- 納税地→住所を選択
- 郵便番号→入力すると自動で登録されるところがあるのでここは必須
- 住所→住民票の住所と違っても今住んでいるところの住所を入力するのが正しいです。
- 提出先税務署→郵便番号を入力すると自動で選択してくれます。
- 提出年月日→いつ提出するかが決まっていなければ空欄でもOK。プリントアウトした後に書きましょう。
- 整理番号→空欄でOK
- 平成31年1月1日の住所(2019年分の確定申告だと令和2年1月1日になると思います。)→どちらかにチェックを入れます。
最後に入力するのがマイナンバー
法律上、確定申告書にはマイナンバーを記載することになっています。
マイナンバーカードまたは通知カードを見ながら入力していきます。
ただし、入力しなくても確定申告書の作成を完了させることも可能です。
その場合、こういった注意書きが出てきます。
ちなみに今のところマイナンバーが書かれていない確定申告書でも、税務署では受け取ってくれますし、税金もちゃんと還付されます。
もしかしたら今後厳しくなっていくかもしれませんが。
ようやく確定申告書の作成が終わりました。
次のページで必要な書類をPDFでダウンロードできます。
最後のページでは、今まで入力したデータの保存ができたり、申告書の提出に関する注意書きがあったりするのでよく読んでおきましょう。
それでは、印刷した確定申告書について注意すべき点をお伝えします。
印刷した確定申告書でやるべきこと
用意した印鑑を提出用と控え用の申告書に押印します。
印鑑を押すのは確定申告書の一枚目の書類になる「第一表」です。
ついでに、還付金を受け取る口座の情報が間違っていないかも確認します。
PDFの2枚目は、税務署へ提出する書類の台紙になっています。
源泉徴収票は、原本を貼り付けます。
ここに張り付けるのは、あなたの源泉徴収票だけです。
配偶者の源泉徴収票は、提出しなくていいので張り付ける必要はありません。
のりで張り付けるか、ホッチキスで止めても大丈夫です。
マイナンバーカードがあればコピーを張り付けるだけですが、通知カードのときは身元の確認書類がいるので注意が必要です。
3枚目の「第二表」には、配偶者の情報が載っています。
もし配偶者控除のほうにチェックが入っていれば、入力の内容が間違っていることになるので再度入力内容をチェックしましょう。
4枚目と5枚目は、あなたの手元に置いておく控えです。
住宅ローンを組むときや役所に提出することもあるので、大切に保管しておいてください。
最後はご案内のページです。
提出に関する注意書きが載っているので、目を通しておいてください。
右下に提出先の税務署の住所などが載っているので、郵便で提出するときは切り取って封筒に貼って使うこともできます。
最後にそもそもの配偶者特別控除の内容をお伝えします。
配偶者特別控除とは
配偶者の年収が103万円を超えるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の年収に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があり、これを配偶者特別控除といいます。
なお、配偶者特別控除はどちらか一方でしか受けられず、夫婦の間で互いに受けることはできません。
2018年から配偶者控除・配偶者特別控除に改正が入り、配偶者の年収が150万円未満だと38万円の控除が受けられます。
その後、配偶者の年収に応じて控除額が段階的に減っていきます。
また配偶者控除、配偶者特別控除の受けるあなたの年収によっても控除を受けられる金額は変わります。
次の表は給料収入のみの人むけに作成しました。
配偶者特別控除を受ける納税者の年収が1,120万円以下のパターンです。
次は、納税者の年収が1,120万円超、1,170万円以下のパターン
最後に納税者の年収が1,170万円超、1,220万円以下のパターン
まとめ
配偶者特別控除を確定申告で受けるときの手順を説明しました。
手書きでも確定申告書の作成はできますが、控除額が配偶者の年収で変わるため国税庁のHPを利用するのがおススメです。
確定申告書の作成が終わったらPDFをダウンロードして印刷してください。
提出用、控え用に押印し、提出が必要な源泉徴収票などを台紙に張り付ければ完成です。
郵送で提出するときは必ず返信用封筒に切手を貼ることを忘れないように。
税金の還付は遅くても1ヶ月ほどで確定申告書に記載した銀行口座に振り込まれます。