社会保険料控除は、生命保険料控除などと違って支払った金額が全額控除の対象です。
適用を受けないと数万円、余分に税金を支払うことになり、かなりもったいないです。
税金への影響が大きいので、国民年金や国民健康保険を支払っている人は忘れずに適用を受けましょう。
- 今年初めて年末調整を受ける人
- 年末調整の担当者
- 国民年金、国民健康保険を払っている人
- 社会保険料控除の内容
- 保険料控除申告書の書き方
社会保険料控除とは
タックスアンサー No.1130 社会保険料控除
納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます。
控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。
給料から厚生年金や健康保険が天引きされているときは、自分で社会保険料を集計する必要はありません。
会社で給料計算や年末調整を担当している方が、全てやってくれています。
自分で書類を集めたり、金額を集計する必要があるのは、国民年金や国民健康保険を支払っている方です。
その場合、給与所得者の保険料控除申告書に社会保険料控除の内容を記載することになります。
誰の社会保険料が対象になるのか、どんな書類が必要なのか説明します。
社会保険料の範囲
社会保険料控除の対象となる社会保険料は、次のとおりです。
- 健康保険、国民年金、厚生年金保険及び船員保険の保険料で被保険者として負担するもの
- 国民健康保険の保険料又は国民健康保険税
- 高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料
- 介護保険法の規定による介護保険料
- 雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
- 国民年金基金の加入員として負担する掛金
- 厚生年金基金の加入員として負担する掛金
- 国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、恩給法等の規定による掛金、納付金又は納金
- 労働者災害補償保険の特別加入者の規定により負担する保険料
- 地方公共団体の職員が条例の規定によって組織する互助会の行う職員の相互扶助に関する制度で、一定の要件を備えているものとして所轄税務署長の承認を受けた制度に基づきその職員が負担する掛金
- 独立行政法人農業者年金基金法の規定により被保険者として負担する農業者年金の保険料
国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律の公庫等の復帰希望職員に関する経過措置の規定による掛金 - 健康保険法附則又は船員保険法附則の規定により被保険者が承認法人等に支払う負担金
- 租税条約の規定により、当該租税条約の相手国の社会保障制度に対して支払われるもの(我が国の社会保障制度に対して支払われる当該租税条約に規定する強制保険料と同様の方法並びに類似の条件及び制限に従って取り扱うこととされているものに限ります。)のうち一定額
ほとんどの方に関係してくるのは、1から8までの社会保険料です。
自分の社会保険料を支払っているとき
勤め先が社会保険に加入していないところだと、国民年金や国民健康保険を直接自分で支払っているかと思います。
個人経営の飲食店などで働いている方に多いケースです。
また年の途中で入社し、その前は国民年金を支払っていた方も同様です。
こういった方は、先ほどの保険料控除申告書の社会保険料控除の欄に社会保険の内容を記載することになります。
記載していないと社会保険料控除を受けることができません。
会社のほうでも入社前のことはわかりませんので、自分で忘れないよう気を付けてください。
実際に保険料控除申告書に書くときの記載例です。
【国民年金】
- 社会保険の種類:国民年金
- 支払先の名称:日本年金機構
- 氏名:自分の名前
- あなたとの続き柄:本人
- 支払った保険料の金額:20万円
【国民健康保険】
- 社会保険の種類:国民健康保険
- 支払先の名称:○○市(自分が住んでいる自治体の名称)
- 氏名:自分の名前
- あなたとの続き柄:本人
- 支払った保険料の金額:20万円
家族の社会保険料を支払っているとき
自分の社会保険は給料から天引きされているけど、家族の社会保険を別で支払っているケースです。
【国民年金】
- 社会保険の種類:国民年金
- 支払先の名称:日本年金機構
- 氏名:子供の名前
- あなたとの続き柄:子(長男など具体的でなくてもOK)
- 支払った保険料の金額:20万円
配偶者(妻、夫)でもその他の親族でも、同じお財布で生活している人の分を支払っているなら控除することができます。
年末調整で社会保険料控除を受けるためのポイント
給料から天引きされている方以外は、次のケースにあてはまると年末調整で保険料控除申告書への記載が必要です。
- 自分で年金、健康保険をなどの社会保険を支払っているとき
- 家族の分の年金、健康保険をなどの社会保険を支払っているとき
年末調整で社会保険料控除の適用を受けるためには、会社に証明書を提出する必要があるもの、必要ないものがあります。
社会保険料控除証明書の提出が必要なもの
- 国民年金
- 国民年金基金
証明書の提出が必要でないもの
- 国民健康保険
- 介護保険
- 後期高齢者医療保険
国民年金の社会保険料控除証明書は、このようなものです。
国民年金基金は、掛金納付結果通知書ではなく社会保険料控除証明書というタイトルのものを提出してください。
どちらの証明書もその年の11月には郵便で届きます。
もし間違えて捨ててしまったときは、できるだけ早く再発行の手続きをしましょう。
証明書の提出が必要でないものも、市役所から通知書などが送られてきます。
これは寝屋川市に国民健康保険を年間でいくら支払ったか証明するための通知書です。
自治体によって発行していないところもあるようです。
また、発行時期も年明けになるので年末調整には間に合いません。
証明書の提出が必要でないものは、自分で通帳や領収書などから年間支払額を集計することになります。
社会保険料控除の適用を忘れたとき
年末調整で社会保険料控除を受けるのを忘れていたときは、確定申告をすることになります。
面倒だと思うかもしれませんが、税金が戻ってきますので確定申告をしたほうがお得です。
会社員の方が使う確定申告書Aをもとに、社会保険料控除の書き方を解説します。
【確定申告書A 第一表】
所得から差し引かれる金額の6番に、証明書や通知書に記載された金額を書きます。
【確定申告書A 第二表】
保険料控除申告書と同じように社会保険の種類ごとに書きます。
第一表に記載する金額と同じ金額になります。
確定申告で社会保険料控除の適用を受けるためには、源泉徴収票と社会保険料控除証明書が必要です。
まとめ
社会保険料控除は、生命保険料控除などと違って複雑な計算も必要ありません。
証明書さえ手元にあれば簡単に控除が受けられます。
適用を忘れると数万円分の税金を多めに支払っていることになるので、忘れずに適用を受けてください。