年末調整のときに、会社から提出してくださいと言われる書類には、扶養控除等申告書のほかに保険料控除申告書があります。
年1回しか書かないものなので、書き方に苦労されると思います。
ぜひこの記事を読んで、保険料控除申告書の書き方をマスターしてください。
- 生命保険に加入している人
- 今年初めて年末調整を受ける人
- 年末調整の担当者
- 生命保険料控除の計算方法
- 保険料控除申告書の書き方
生命保険料控除とは
タックスアンサー No.1140
納税者が生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを生命保険料控除といいます。
生命保険料控除は、会社員の方にもなじみがあるかと思います。
年末調整で適用を受けることで、控除額に応じて税金が戻ってきます。
生命保険料控除を受けるためには、会社に次のような控除証明書を提出する必要があります。
基本的にこの証明書がないと控除は受けられませんので、必ず捨てずに保管しておいてください。
保険会社から遅くても11月には郵送されてきます。
なくしてしまったときは、できるだけ早く保険会社に再発行の依頼をしてください。
生命保険料の種類
生命保険料控除は、契約の内容に応じて3つに分類されています。
- 一般の生命保険料
- 介護医療保険料
- 個人年金保険料
各分類ごとに控除額を計算する仕組みになっています。
生命保険料控除証明書に必ずどの保険料に該当するか記載してあるので、自分でどれにあてはまるか考える必要はありません。
書いてあるとおりの分類で控除額の計算をしてください。
保険契約の細かい内容について知りたい方は、国税庁のホームページをご確認ください。
また一般の生命保険料と個人年金保険料は、新契約と旧契約にわかれています。
これも必ず証明書にどちらに該当するか記載されています。
ちなみに新と旧は、基本的に契約した年によってわけられています。
- 新契約…平成24年1月1日以後に締結した保険契約等
- 旧契約…平成23年12月31日以前に締結した保険契約等
新と旧で計算結果が変わりますので、間違えないように気を付けてください。
なお、介護医療保険料には新と旧という区別はありません。
生命保険料控除の計算方法
生命保険料控除の計算は、一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料で別々に行います。
また新契約と旧契約で計算方法が変わるので注意が必要です。
生命保険料控除の上限は、新契約と旧契約を足して12万円までとなっています。
新契約に基づく計算
新一般の生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料の計算方法です。
年間の支払い金額に応じて、次の算式にあてはめて計算します。
- 20,000万円以下…支払保険料等の全額
- 20,001円~40,000円…支払保険料等×1/2+10,000円
- 40,001円~80,000円…支払保険料等×1/4+20,000円
- 80,001円以上…40,000円
各分類ごとに最大で4万円の控除が受けられます。
一般の生命保険料を年間100万円支払っていたとしても、控除額は4万円です。
算式を見ると、結構ややこしく感じてしまいますよね。
意外と間違って計算している人が多いところでもあります。
そんな方におススメなのが各保険会社が提供している計算ツールです。
いくつか見た感じでは、明治安田生命のものが使いやすそうでした。
旧契約に基づく計算
旧一般の生命保険料・旧個人年金保険料の計算方法です。
- 25,000円以下…支払保険料等の全額
- 25,001円~50,000円…支払保険料等×1/2+12,500円
- 50,001円~100,000円…支払保険料等×1/4+25,000円
- 100,001円以上…50,000円
旧契約のほうは、各分類ごとに最大で5万円の控除が受けられます。
生命保険料控除証明書の見方
税理士をやっていると、いろいろな方の書類をチェックすることがあります。
意外と間違っていることが多いのが、計算の出発点となる支払った保険料の金額です。
青と赤で囲ったところに数字が記載されていますが、金額が違いますね。
ここでたまに青のほうの金額を書いている人がいるのですが、使うのは赤で囲ったほうです。
青で囲ったところは、この証明書が作成された日(10月3日)までに支払った金額になります。
赤で囲ったところは、年末までに支払うことになる金額も足したものです。
11月・12月に支払う分も年末調整の対象になるので、赤枠のほうを使うことになります。
10月の時点で保険の契約を解除しているときは、青枠のほうを書くことになります。
給与所得者の保険料控除申告書の書き方
年末調整で生命保険料控除の適用を受けるためには、控除証明書の添付だけでなく証明書の記載内容を書類に書く必要があります。
平成30年から様式が変わり、給与所得者の保険料控除申告書になりました。
こちらは令和元年分のものです。
記載すべき項目はこちらです。
- 保険会社等の名称
- 保険等の種類
- 保険期間又は年金支払期間
- 保険等の契約者の氏名
- 保険金等の受取人
- 新・旧の区分
- 保険料等の金額
実際に先ほどの証明書を見て、各項目を埋めてみました。
枠はそれほど広くありませんので、書ききれない方はこちらの記事を参考にしてください。
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わかりやすいように赤字にしていますが、ご自身で書くときは黒のボールペンで書きます。
生命保険料控除の確定申告書の書き方
生命保険料控除証明書を捨ててしまって、再発行が年末調整に間に合わなかった。
そんなときは、確定申告をして生命保険料控除の適用を受けましょう。
会社員の方が使う確定申告書Aをもとに、生命保険料控除の書き方を解説します。
【確定申告書A 第一表】
所得から差し引かれる金額の8番に、計算した控除の金額を記載
【確定申告書A 第二表】
第二表のほうは、保険会社に支払った保険料の合計額を記載
確定申告で生命保険料控除の適用を受けるためには、源泉徴収票と生命保険料控除証明書が必要です。
まとめ
会社員の方にもなじみのある生命保険料控除をご紹介しました。
証明書を捨ててしまって控除を受けないという方も結構いらっしゃいます。
保管しておくのが一番ですが、捨ててしまっても早めに気づけば再発行できます。
税金が戻ってくる可能性が高いので、必ず控除を受けるようにしましょう。
計算が難しいと感じたら、ネットで「生命保険料控除 シミュレーション」と検索すると計算ツールが出てきます。
配偶者控除・配偶者特別控除に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
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