年末が近づくと会社から渡される扶養控除申告書。
年に一度しか書かないのでイマイチ書き方がわかりませんよね。
そもそも子供が扶養控除の対象になるのか
いくら控除を受けられるのか
アルバイトをしている子供でも扶養控除を受けることができるかなど記事にしています。
- 子供がいる人
- 下宿中の子供に仕送りをしている人
- 年末調整の担当者
- 子供で扶養控除が受けられるかどうか
- 税金上のメリットについて
- 扶養控除等申告書の書き方
扶養控除とはなんですか?
まず初めに「扶養」という言葉の意味について。
扶養ーWikipediaより
老幼、心身の障害、疾病、貧困、失業などの理由により自己の労働が困難でかつ資産が十分でないために独立して生計を営めない者(要扶助者)の生活を他者が援助すること
自分一人では生活ができないので、他人に養ってもらっていることを言います。
大半の子供には収入がないので、扶養される側(被扶養者)になります。
そして親には子供を扶養する義務があります。
扶養控除とは、他人を扶養することで生じる負担を税金面でメリットを与えて、少しでもその負担を軽くしようとする仕組みです。
納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。
それでは扶養控除の対象となる人についてみていきましょう。
その年の12月31日時点で、次の4つの要件すべてにあてはまり、年齢が16歳以上の人です。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人
- 納税者と生計を一にしていること
- 年間の合計所得金額が38万円以下であること
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
重要なのは2と、子供が16歳以上でアルバイトをしているなら3もチェックすべきポイントになってきます。
内容については、後ほど詳しく解説します。
控除してもらう金額ですが、次の表をご覧ください。
区分 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
一般の控除対象扶養親族 | 38万円 | 33万円 |
特定扶養親族(注) | 63万円 | 45万円 |
(注)特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳から22歳の人をいいます。
子供が特定扶養親族に該当したときは、所得税率が最低5%、住民税率10%で計算すると
- 所得税:63万円×5%=31,500円
- 住民税:63万円×10%=63,000円
合計で94,500円の節税効果をうみます。
「生計を一にしている」ってどういう意味?
法律の解釈としては、次のような説明になっています。
所得税法 基本通達2-47
法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。
ものすごくざっくり言うと、同じお財布で生活していることを指します。
同居していなくても生活費などの仕送りをしていると、「生計を一にしている」に該当します。
子供が遠方の高校や大学に通うため下宿していて、その生活費を仕送りしているような状況です。
法律上は、いくら仕送りをしていれば同じお財布で生活していると認めるのか、明確な金額基準はありません。
それでも、子供が学生生活を送るうえでの生活費の大部分を負担している必要はあります。
1から2万円のお小遣い程度では、生計を一にしていると認められないと思ってください。
子供で扶養控除を受けるには年齢が決め手に
15歳以下の子供の場合
所得税は平成23年分から、住民税は平成24年分から15歳以下の子供では扶養控除を受けることができなくなりました。
「昔は、0歳児でも扶養控除を受けることができたのに」って怒る人もいるかもしれません。
扶養控除が廃止されたのは東日本大震災が起きたのと児童手当のためですので、財源を確保するためにも仕方がないのかもしれません。
個人的には、少しでも少子化のことを考えるなら、こういった控除は復活してほしいと思っています。
16歳から18歳の子供の場合
平成23年からちょうど高校生にあたる年齢の子供の扶養控除の加算分(所得税25万円、住民税12万円)が、廃止されました。
高校の無償化の関係で廃止されたようです。
現在の控除額は、所得税38万円・住民税33万円となっています。
19歳から22歳の子供の場合
大学の4年間は、学費等で最もお金がかかる時期だということで、通常の扶養控除の金額に加算額があります。
加算額は、所得税25万円・住民税12万円です。
19歳から22歳の子供の扶養控除の金額は、所得税63万円・住民税45万円となっています。
特別に上乗せしているものですので、大学の無償化が現実味を帯びてきたら廃止されるかもしれません。
23歳以上の子供の場合
大学を卒業して就職する年齢にあたりますが、23歳以上の子供でも収入がなければ扶養控除を受けることは可能です。
控除額は、所得税38万円・住民税33万円となっています。
子供がアルバイトをしているときはどうなる?
子供に収入がないときは、年齢を気にすればいいだけだったのが、アルバイトをしているとチェックすべきポイントが増えます。
それは子供の年収です。
扶養控除の対象になる人は、年間の合計所得金額が38万円以下である必要があります。
所得=年収ではないというところがポイントです。
年収-経費(給与所得控除額)=所得となります。
アルバイトの場合は、年収が103万円以下だと扶養の対象になると覚えておけば大丈夫です。
留学中の子供は扶養控除の対象になるのか?
留学中で日本にいない子供でも、一定の要件に該当すれば扶養控除の対象になります。
そのためには年末調整のときに、会社に「親族関係書類」と「送金関係書類」を提出する必要があります。
親族関係書類とは、つぎの1または2のいずれかの書類で、留学中の子供が納税者の子供であることを証明するものをいいます。
- 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及びその国外居住親族の旅券の写し
- 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(その留学中の子供の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)
送金関係書類とは、その年における次の1または2の書類(外国語で作成されている場合にはその翻訳文も必要です。)です。
その留学中の子供の生活費又は教育費に充てるための支払いを、必要の都度、その子供に行ったことを明らかにするものをいいます。
- 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引によりその納税者からその国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類
- いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、そのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等及びその商品等の購入等の代金に相当する額をその納税者から受領したことを明らかにする書類)
扶養控除等申告書の書き方
年末近くになると会社で配られる扶養控除等申告書です。
16歳以上の子供は赤枠に、15歳以下の子供は青枠のところに記載します。
扶養控除等申告書の書き方はこのようになります。
今回は、控除額が加算される特定扶養親族を例として取り上げました。
「特定扶養親族」の欄に必ずチェックを入れてください。
住所は住民票の住所ではなく、実際に住んでいるところの住所です。
子供が下宿をしているときは、下宿先の住所を書きます。
所得の見積額は0円としましたが、子供がアルバイトをしているときは、年収の見積額-給与所得控除額で所得の計算を行います。
給与所得控除額の計算方法については、国税庁のホームページでご確認ください。
住民税には独自の基準が存在する
住民税には、扶養家族がたくさんいると住民税がかからない年収を段階的に引き上げる制度があります。
これは扶養控除とは全く別の制度になり、「住民税の非課税基準」というものです。
次の表を参考にしてください。
寝屋川市のホームページより
会社員で収入が給料だけの場合、( )内の金額を確認してください。
扶養控除等申告書の青枠で囲ったところに15歳以下の子供の名前などを書くことで、条件が合えばこの規定が受けられます。
まとめ
子供の扶養控除の受け忘れというものは、あまりないかと思います。
アルバイトをしていて年収が103万円を超えている子供を、扶養に入れてしまっているというケースがあるかもしれません。
扶養控除を受けることができる要件をしっかり確認して、年末調整をしてもらってください。
年末調整の担当者におススメの本です。