借入金の仕訳をまちがえないために気を付けること

この記事を読んでほしい人
  • 会社の経理担当者
  • 初めて借入をした会社の社長さん

 

借入金とは

会社が日々の経費の支払いや設備投資などに充てる資金が足りないときに金融機関、グループ会社、取引先や役員から借り入れたお金のことをいいます。

 

借入先や借入金の内容によって次のように勘定科目をわけて仕訳をします。

短期借入金として処理

銀行から借り入れをした場合で契約の内容が、当座借越・手形借入であるときは短期借入金という勘定科目を使います。

 

取引先や役員からの借り入れも短期借入金として処理をすることがあります。

 

短期借入金として処理をするかどうかの判断方法は、決算日(3月決算の場合は、3月31日)から1年以内に返済されるものかどうかです。

長期借入金として処理

決算日から1年を超えて返済されるものは、長期借入金という勘定科目を使います。

 

設備投資をするための借り入れは、長期にわたって返済する証書借入(金銭消費貸借契約によるもの)になることが一般的なので長期借入金に該当します。

 

長期借入金のうち決算日から1年以内に返済されるものは、短期借入金ではなく1年以内返済長期借入金という勘定科目で処理をします。

役員借入金として処理

役員からの借り入れは、1年以内に返済するものは短期借入金、1年を超えて返済するものは長期借入金で処理をして問題ありません。

 

ただし、役員からの借り入れは返済を前提にしていない場合、銀行からは資本金と同じように扱われることがあります。

 

銀行から借り入れをするときに査定が有利になることがあるので、ほかの借入金と区別して表示しておくことをおススメします。

 

特に債務超過すれすれの会社の場合は、細かい仕訳の処理にも注意しましょう。

関係会社からの借入金

親会社や子会社など関係会社からの借入金は他の借入金とは区分して処理をする必要があります。

 

他の借入金に含めて処理をしている場合は、貸借対照表注記にその金額を記載することになります。

 

グループ会社間での資金の融通を明確にするためです。

 

 

借入金の仕訳

お金を借りたとき

1,000万円を長期の返済で借りたときの仕訳。

 

借方 金額 貸方 金額
普通預金 1,000万円 長期借入金 1,000万円

 

借入金は負債ですので、借入時は貸方に表示します。

 

貸方の勘定科目は、借り入れの内容によって短期借入金などに変更します。

 

借り入れ時に印紙代や振込手数料が差し引かれることがあるので、契約内容をチェックしましょう。

お金を返したとき

1,000万円のうち元金10万円と利息1万円支払ったときの仕訳。

 

借方 金額 貸方 金額
長期借入金 10万円 普通預金 11万円
支払利息 1万円
合計 11万円 合計 11万円

返済時の処理で注意すること

銀行などからお金を借りるときは、元金の返済と同時に利息の支払いが発生します。

 

借り入れの返済は、通常は自動引き落としで行われます。

 

銀行によっては元金と利息が別々に引き落とされますが、合算されて引き落とされることもあります。

 

その場合、引き落とされた金額を自分で元金と利息にわけて仕訳をする必要があるので注意が必要です。

 

こちらは日本政策金融公庫から借り入れをしたときに送られてくる返済表です。

 

 

引き落とされた金額を全額元金として処理をすると、利息部分の経費計上ができず借入金の残高も一致しません。

 

銀行から借り入れをすると必ず返済のスケジュールが送られてきますのでこういった資料を見ながら正確な処理をしてください。

 

 

まとめ

借入金の処理は簡単そうですが、返済時の処理が間違っていると大事になります。

 

貸借対照表、損益計算書両方に影響が出てしまうので必ず返済表を見て確認するクセをつけましょう。

 

たくさんの銀行から借り入れをしているときは、決算日時点の残高証明書を取るとミスがなくなります。

 

 

 

小さな会社だとこういった本一冊あれば経理処理の疑問はほぼ解決できます。